なぜフルマラソンを走るのか — 758万人ランナーのリアルな動機まとめ

コラム・知識

2024年、日本のジョギング・ランニング推計実施人口は758万人。コロナ禍で一度1,055万人まで膨らみ、その後落ち着いた数字です。それでも依然として、約13人に1人が走っている計算になります。なぜこれほど多くの人がフルマラソンに挑戦するのでしょうか。本記事では、調査データと市民ランナーたちのリアルな声から「走る理由」を整理します。

朝霧の中を走るジョガー、光が差し込む公園
「なぜ走るのか」その答えは、走り出した先にある © John Robert McPherson (CC BY-SA 4.0)

フルマラソンを走る人は、いま日本にどれくらいいるのか

笹川スポーツ財団の調査によると、日本のジョギング・ランニング推計実施人口(年1回以上)はコロナ禍ピークから減少傾向。一方で「大会回帰」は明確に進行しています。

調査年推計実施人口実施率男性/女性
2020年1,055万人(過去最高)10.2%
2022年8.5%
2024年758万人7.4%男564万人 / 女175万人
出典:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」

4年で約3割減ったランナー人口。それでも続けている人は、より明確な「目的」を持って走るランナーへとシフトしています。実際、株式会社アールビーズの「ランナー世論調査2024」では、ランニングを続けるモチベーションの上位はこうなっています。

順位続ける動機回答率
1位大会出場のため68%
2位健康維持のため
3位記録を更新したいため38%(前年比+3pt)
出典:株式会社アールビーズ「ランナー世論調査2024」

2024年の調査では、ランナー全体の9割以上が何らかの大会に出場。つまりランナーは、ただ走るだけの存在から、「目標に向かって走る存在」へとはっきりシフトしています。ではその「目標」の背後にはどんな動機があるのでしょうか。

なぜフルマラソンを走るのか — 5つの動機

1. 健康のため — 数字で自分を管理したい

もっとも基礎的な動機。運動不足解消、生活習慣病予防、体重管理、メンタルヘルス。ある調査では「健康診断で指摘項目がない状態を維持したい」という声が代表例として挙げられます。フルマラソンを完走するという明確なゴールがあると、日々の練習が「サボれない仕掛け」として機能します。

「健康のために運動を始めたいけど、なんとなく運動するのは続かない。大会にエントリーしてしまえば、もう逃げられない

2. 自己挑戦・目標達成 — 「やれるかどうか」を試したい

42.195km という数字は、ふつうの人にとって「やったことがない、できるかわからない」距離。だからこそチャレンジ価値がある。完走できれば自己肯定感が一気に上がり、サブ4・サブ3.5・サブ3と新しい目標が次々生まれます。

マラソンランナーの谷川真理さんは、初フルマラソンの動機を「ただで海外に行きたかった」「格好いいボディになりたかった」と率直に語っています。動機は「立派な理由」である必要はなく、個人的でいいのがフルマラソンの面白さです。

ランニングシューズ Racing flats
「これを履いてあのレースを走る」その瞬間が動機になる © Modifyphysio (CC BY-SA 4.0)

3. 仲間・コミュニティ — 一人で走る競技なのに「孤独じゃない」

マラソンは個人競技ですが、練習仲間・走友会・大会会場の一体感がランナー人生を支えます。職場や家庭以外に、年齢も職業も超えた「走る」だけでつながるコミュニティができる。Stravaのようなランニングアプリも、フォロー・フィードバック文化として機能しています。

「平日は会社員、休日はランナー。同じ大会に出る仲間とつながると、月曜の通勤も少し楽しみになる

4. 旅・地域への愛着 — 知らない街を走る楽しみ

東京・大阪・京都・福岡・北海道・沖縄。日本各地の大都市マラソンは、普段は車で通る道を、自分の足で走り抜ける特別な体験を提供します。海外の6メジャー(ボストン・ロンドン・ベルリン・シカゴ・NY・東京)への憧れも、ランナーを国境の向こうへ連れて行きます。「走った後の食事の美味しさ」「旅先での達成感」がセットになるのも、フルマラソンならでは。

5. 自分との対話・メンタル整理 — 走りながら考える

長距離を走っていると、思考が整理される瞬間があります。仕事のモヤモヤ、人間関係、人生の方向性。「嫌なことを忘れて無心になれる」「走った後は脳が静かになる」という声は多く、特に40代以上のランナーがメンタルケアの効用を強調します。

東京マラソン2024 飯田橋を走る市民ランナーたち
東京マラソン2024 — 「街を自分の足で走り抜ける」特別な日 © nakashi (CC BY-SA 2.0)

続けるランナーと離脱するランナーの違い

2020年の1,055万人から2024年の758万人へ、ランナー人口は4年で約3割減りました。背景はSNS・スマホゲームなど余暇選択肢の拡大、大会参加費の高騰、大会数自体の減少など。それでも続けている人たちには、共通する特徴があります。

  • 「走る理由」を自分の言葉で言える — なんとなく健康のためではなく、もっと個人的なストーリー
  • 大会という締切を持っている — エントリー=逃げられない仕掛け
  • 記録より「次の楽しみ」がある — タイム更新だけでなく、新しい大会・新しい仲間・新しい街
  • 無理をしない — 故障で離脱するパターンを避け、休息・栄養・睡眠を含めて「ランニング」と捉えている

はっしーのコメント

「なぜ走るのか」は走り始めた頃と今では全然違います。最初は健康診断対策、次は完走の達成感、今は「自分が自分でいられる時間」。仕事も家庭も他人の都合で動くなかで、走る90分だけは完全に自分のもの。これに気づいてから、雨の日も寒い日も走れるようになりました。

これからフルマラソンを始める人へ。動機は立派でなくていいです。「Tシャツを格好よく着たい」「走った後のビールがうまい」「インスタに完走写真を上げたい」、何でも構いません。大事なのは「自分にとっての本当の理由」を1つ持つこと。それさえあれば、42.195kmは長すぎず、人生は走れる距離になります。

※統計データの出典:笹川スポーツ財団「ジョギング・ランニング人口(2024年調査)」、株式会社アールビーズ「ランナー世論調査2024」。本記事の画像は Wikimedia Commons より各ライセンス(CC BY-SA 2.0/CC BY-SA 4.0)で使用。

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